コンピュータの開発現場を体験して、確信したことがある。
「一番売れるモノが、最終的に、性能でも勝つ」
CPU市場の最終的な勝者となったのが、米国インテル社だ。ところが、CPUが、8ビットから、16ビット・32ビットへと進化した頃、インテルは最悪だった。以下、その頃の個人的体験…
最初に使った16ビットCPUは、テキサス・インストルメンツのTI9900だったが、インテルの8086より、高機能で高速で、アーキテクチャ(全体構造)も洗練されていた。その後、モトローラのMC68000に乗り換えたが、ハード設計が楽で、プログラミングも楽、アーキテクチャには『美』すら感じた。すべてにおいて、TI9900を凌駕していたのである。
そして、やがて、真打ちが登場する。米国ナショナルセミコンダクター社のNS32032だ。アーキテクチャはMC6800に酷似していたが、究極と思えるほど洗練されていた。命令体系は、完全な対称性が実現され、プログラミング(アセンブラ言語)の習得が容易で、生産性も高かった。この頃が、コンピュータのハード設計者にとっては黄金期だった。
ところがその後、パソコン市場では、インテルのx86系CPUを除いて、すべて消滅してしまった。性能で劣るCPUが、優れたCPUを淘汰したのである。理由は一つ、一番売れたから。では、なぜインテルが一番売れたのか?インテルは、8ビットCPUの覇者であり、16ビットに移行した後も、保守的な技術者に支持されたからだ。もちろん、ソフトウェアを含め、開発環境の問題もあったのだが。
モノは、ナショセミのNS32032がナンバーワンだったが、量産体制に不安があった(売れなかったので)。一方、インテルのx86系は、量産体制は一番だったが、あのグチャグチャしたアーキテクチャはどうしても好きになれなかった。結局、モトローラのMC68000シリーズを10年間使い続けたが、最後までメジャーにはなれなかった。
さて、この個人的体験から、どんな個人的教訓を得たか?
「一番売れたモノが、生き残る」
そして、
「生き残ったモノが、最高の性能をたたき出す」